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  サブプライムローンの実態

 

 現在株式市場では、サブプライムローンの問題で、日本株は上昇が止まっている。このサブプライムローンとは、どのようなものか?もともと富裕層向けの、低金利プライムローン(日本の銀行金利程度)というものがあった。そのため、不動産の上昇が始まった。そこで、低所得者向けサブプライムローン(日本の消費者金融のように割高金利)により、不動産取得をしてもらおうと考えた。
 プライムローンで、不動産の価値は、上昇を進めてきた。さらに、サブプライムローンにより、年間二桁上昇し始めた。このサブプライムローンの、恐ろしいところは、金利の支払い方法にある。初め2年間は7〜9%に金利が固定されている。3年目からは20〜30%と金利が跳ね上がる。基本的に買った不動産は、担保に取られている。不動産の価値が、二桁上昇している間は、転売により利益を得られるが、アメリカは失業率が高かった。そして、このサブプライムローンには二つの問題があった。
 ひとつめは、不動産の上昇に目をつけた、個人投資家たちがサブプライムローンを利用して、売却益をとるつもりで不動産をかっていたが、不動産価格が頭打ちとなったため、ローンの支払いも、不動産の売却もできなくなった。
 ふたつめは、一般の人が住宅として、不動産を買うケース。多くのケースが、純粋のアメリカ人ではなく、アメリカに移民して来た人が、低賃金労働と、サブプライムローンの支払いルールが分からず、3年目からの金利が、支払えなくなったためだ。
 ここまでは対岸の火事のお話。ここからは、日本に関係するお話をしていきたい。ではどうして、日本の株式が値段を下げているのか?サブプライムローン債権を証券化しているためだ。もちろん債券市場で売買しているが、サブプライムローン債権には長期間値段がつかないことが、日本を含め世界中の金融機関などに不良債権として経常をさせている。当然会社の利益を圧迫してしまうため、株価が上がらなくなってしまう。
 実はこれだけではない。今までも書いたが、日本株は日本人の保有率20%残りはアメリカ人を中心に80%が、外国人だ。サブプライムローンが、不良債権化することに気がついたアメリカ人は、日本株をいち早く売っていたのだった。これが、アメリカの証券会社の負債を小さくしていたのだった。
 ではどうして、ここまで問題が大きくなってしまったのか?サブプライムローンが破綻したため、実質住宅販売が落ち込み、建設業から仕事が低下しているためだ。これは日本の不動産バブルと、よく似た現象である。だがここからが違う。アメリカの経済は、日本に直結している。
 アメリカの経済状態が、低下するということは、アメリカの通過ドルの価値が下がるということ、逆に日本の円は価値が、上がるということになる。欧米輸出に頼ってきた日本には、かなり厳しいことになる。2007年6月頃には1ドル124円前後の円安だったのが、2007年11月には1ドル110円の円高まで進んだ。
 欧米輸出に頼る日本は、円安でないと事業の利益が出ないのだ。なぜならば会社の目標利益などは、為替を計算に入れているからだ。今年は多くの企業が、1ドル114円で、計算しているようだ。今のように、110円前後が続くと、為替差損になり、企業業績を圧迫する。つまり株価を下げる要因となる。
 この株安に対して、日本銀行の対応は、金利の維持、福井総裁はこれほど、株価が下がっていても、利上げのことしか考えていない。ではどうして金利を下げると、株価上がるのか?現在の日本の金利は0.5%だ。これをゼロにするわけだ。今の日本は典型的だと思うが、金利を下げると、銀行に預けていても、金利は付かない。「同じ、金利が付かないのであれば、株式でも買うか?」という人が多くなり、株価が上がるとされている。
 現実的には、10年以上ゼロ金利であるのに、いまだに日本人が日本株の保有20%しかないのだから、日本人にとってはまったく、関係ないのがよく分かる。つまり、先ほども書いたが、金利が下がってうれしいのは、アメリカ人だろう。
 ここまでは、為替と日本株の話をしてきた。では日本の輸出企業のお得意さんはどこか?何度も書いているが欧米の各国だが、特にアメリカは上得意先ではないだろうか。そのアメリカ不動産の価値が低下しているため、建築業、不動産業などから景気の後退が見えてきた。景気の後退は購買意欲の低下につながる。このため輸出企業はお得意さんを失う形になる。もちろん、この景気の後退はすぐには顕在化しない。金融関係より1年ぐらいは遅れて現れるのではないかと思われる。
 ここで、第二の株価低下の、要因が現れることになる。いまは円高でダメージを受けている企業が、第二のパンチ「不景気で商品が売れない」が起こってくる。これが、日本株を下げる要因になる。日本国内では、ほとんどの商品が飽和状態である。内需で株価を回復させる要因は無いと言い切れる。
 第三は前にも書いたが債券市場の、サブプライム問題、実はこれが一番見えてこない部分だ。このように不良債権化する商品は、誰も買いたくないのである。つまり、売れる見込みの無い負債、その上、現実の不動産価値が、下がり始めたので、債権の回収そのものができなくなる。つまり、債権を発行してお金を借りる。借りたお金はサブプライムローンとして不動産へ変わる。ローンが払えないため不動産売却、売却したお金で債権の回収。と普通はここで終わるが、不動産の売却が多いと元本を割る物件が多くなる。これでは債権をすべて回収することは不可能となる。債権価値の低下として結局は、債権の値段がつかないのが現実。
 この債権を、日本の銀行や証券会社などが、持っていることだ。果たして、この問題の落ち着くところはどこなのだろうか。複雑すぎて見えてこない。


 

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