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  日本における地政学的リスク

 

 近年、株式市場には、地政学的リスク、という言葉が出てきた。地とはその土地が乱れていないか?たとえば戦争などで政治が乱れていないか?とかテロ多発地域ではないか?などだ。次に政だが、もちろん政治のことだ。政治が安定しているか?国民が政治に、安心しているか?などだ。地域と政治が安定しているか?安定していないのか?ということだ。
 では今の日本はどうか?衆議院では、自由民主党が、2005年、当時の内閣総理大臣小泉純一郎が、郵政解散、郵政選挙として大勝。衆議院、第一党で政権を担っている。ところが、参議院では小沢一郎率いる民主党が、2007年の参議院選挙で大勝。参議院、第一党で民主党の政策を、進めようとしている。このような状態では、政治が円滑に運ばない。これが、ねじれ国会と呼ばれている。このため現在の福田内閣では、法律は1本しか出来上がっていない。つまり、日本も地政的リスクがあるとして、投資家が嫌がる要因を持つのである。
 特に日本人から見ていると、政官行の癒着の構造は、税金の無駄遣い以外のナニモノでもない。現在、防衛省の事務次官であった、守屋武昌氏が、山田洋行の元専務、宮崎元伸容疑者(業務上横領容疑)とともに、大物政治家、額賀福志郎財務大臣と、久間章生元防衛大臣の、名前が上がった。
 私はこの防衛省の問題は、氷山の一角でしかないと、考えている。この問題が、全省庁の問題と考えると、防衛省を皮きりに、日本の利権構造に、切り込んで入ってほしいと考えている。癒着を持った政治家は、どんどん政治の舞台から、降りていってもらい、新しい議員で挑んでほしい。
 選挙があるから、「増税の話はしない」ではなく、増税派、経済成長派は、主張をはっきりさせてもらいたい。外国人投資家は、日本が増税すれば、株式を買うことは無いだろう。現在でも自動車メーカーは、内需にあたる国内販売は、苦戦している。下記の表は世界一の自動車メーカー、トヨタ系列の2007年1-9月累計の生産・国内販売・輸出実績(速報)である。
 

 

 まずはトヨタの国内販売の前年比を見てみよう。前年比の91.9%、次にダイハツは、トヨタの軽自動車をカバーしているため前年比越え102.5%となっている。ところが次の日野は大型トラックを生産しているが、83.2%と前年比を割っている。合計は94.5%、これが報道の根拠となる数字だ。見て分かると通り軽自動車だけが、売れていることが分かるが、合計が落ち込んでいるため、国内の自動車販売は伸びていないことを示している。
 次に輸出を見てみよう。トヨタ104.3%、ダイハツ118.3%、日野120.3%、合計105.3%と、輸出は堅調に伸びていることが分かる。これは中国をはじめ新興国への輸出に頼るものと考えられる。
 この実体経済に対して、増税リスクがあれば、より内需が落ち込むことは、当然ではないか?投資家たちは怖くて日本株が買えないことになる。


 

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